第30章 君は死ねない

何度かもがいたあと、杉浦杏奈の身体はとうとう動かなくなった。弾丸がこめかみを貫いた、あの感覚が――また、戻ってくる。

あのとき、痛みはなかった。ただ、ふっと肩の荷が下りるような解放感だけがあった。たぶん、私は死ぬのだ。

やがて瞳孔がゆっくりと散り、視界の奥に別の光景が浮かび上がる――どこかのリゾートヴィラ。

そこはクラブじゃない。山の中腹に建つ屋敷で、外見だけなら普通の高級ヴィラと変わらない。

けれど杉浦杏奈は知っていた。あれが何の場所かを。

特殊な客だけを迎える場所。クラブより上等で、より秘匿され、より歪んでいる施設。

あそこへ送られた初日、彼女は地下室に放り込まれた。

三日...

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